桜の花びら舞う頃に
「どうでした?」



悠希が座るベンチに戻った香澄は、そう尋ねられた。


「うん……」


香澄も、悠希の隣りに腰を下ろす。

お見合いのことが喉から出そうになるが、香澄はそれを飲み込んだ。


「ちょっと……ね」

「そうですか……」


聞いてはマズいと思ったのか、悠希はそれ以上聞いては来なかった。



香澄は、視線を前に向ける。

砂場で遊ぶ拓海の姿が目に入った。


拓海は、来る時に車の中で選んでいた道具を使って、大きな砂の城を作っている。


その姿に、優しく目を細める香澄。







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