桜の花びら舞う頃に
それから時は流れ……





3連休の初日がやってきた。






駅のホームに立つさくらは、携帯電話を取り出し電話をかける。



「あ……もしもし、麻紀ちゃん」



電話の相手は、親友の麻紀。


「うん……あたしね……明日、広島でお見合いなんだ……」


その言葉に驚く麻紀の声が、電話の向こうから聞こえてきた。


「ごめんね……麻紀ちゃんには伝えておこうと思って……」


さくらは、悲しみに包まれた声で答える。


「うん、いいの……それじゃ、またね……」


そう言って、さくらは電話を切った。

そして、足元に置いてあった大きな荷物を掴むと、ホームに停車している新幹線へと乗り込んだ。







荷物を棚の上に乗せ、窓際の席を確保する。

やがて、発車のベルが鳴り響き、新幹線は滑るように走り出した。


景色が勢いよく後ろに流れていく。


「まさか……こんな形で地元に帰るなんて……」


さくらはつぶやいた。









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