桜の花びら舞う頃に
「お待たせしました!」



その時、爽やかな笑顔を浮かべた2人の男性と1人の女性が現れた。


「岡村さん、この度はどうも……」


つばきも、笑顔を返し頭を下げる。

岡村家の3人は挨拶をすると、さくらたちの正面に腰を下ろした。



さくらの緊張は、一気に高まる。



その緊張を汲み取ったかのように、さくらの正面に座った青年は、爽やかに微笑むのだった。









料理が運ばれてきて、見合いは始まった。




岡村 由伸━━━


28歳、もちろん独身。


職業は、私立中学校の教師。


スーツ姿がよく似合う、爽やかな笑顔を浮かべる男性だ。



「さぞかし、モテるんでしょうな!」



その肩書きとルックスに、少々嫌みを言う剛也。

しかし、由伸は気にも止める様子はない。


「いやあ、寄ってくるのは子供ばかりですから」


そう言って、爽やかに笑った。


「それに……」


由伸は、剛也を見つめる。


「私も、奥様の心を射止めたさくらさんのお父様のように、もっと魅力的な男性になりたい……そう思います」

「魅力……的?」


剛也は、ゴクリと唾を飲む。


「はい、とても」


その笑顔に、剛也の顔が赤くなる。


「さくら、さくら!」


剛也は、そっとさくらに耳打ちする。


「なかなか、いい青年じゃないか」




(お父さん……単純……)




心の中で、ため息をつくさくらだった……










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