桜の花びら舞う頃に
風を切って走る新幹線。


窓の外の流れ行く景色を、悠希は眺めていた。



「さくらちゃん……」



悠希の胸に込み上げる想い。





愛しさ



切なさ



不安



悲しみ





様々な想いが渦巻き、悠希を襲う。



「さくらちゃんも同じ想いで……同じ景色を眺めていたのかな……」



悠希はつぶやき、そっと窓をなでた。

窓から見える空はとても青く、そしてとても広い。



「さくらちゃん……」



悠希は、窓に当てた手をギュッと握り締める。



「もう、新たな幸せに向かって歩き出しているのかもしれないけど……」



その手に力が入った。



「俺は……行かなくちゃいけない!」






君に━━━

この想いを伝えるために!






この青い空の先にいるさくらに想いを馳せて


悠希は


今、一路、広島へと向かうのだった……










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