桜の花びら舞う頃に
「あ~あ~、振られちゃったなぁ……」



青空を見上げ、悲しみをこらえる香澄の姿に、玲司と麻紀は顔を見合わせた。


「……うん!」


そして、小さくうなずく。



「あ……あ~っ、なんだか騒ぎたい気分だーっ!」



突然、大声を出す玲司。

香澄は、驚き玲司を見る。



「そ……そうね……あっ、カ、カラオケでも行かない?」



麻紀も、それに続く。



「か、香澄さんも、良かったら一緒に行きません?」


「そ、そう! パーッと騒ぎましょう!」



驚く香澄だったが、次第にその表情に笑みが戻る。


「ふふっ……2人とも……私に気を遣ってるつもり?」


香澄の視線を浴び、2人は照れたように頬をかいた。



「ありがとう……月島くんは、いい友達を持ったわ……」



香澄は2人に聞こえないくらいの声で、そっとつぶやく。


「え? 何か?」

「ううん、何でもない! よ~し、今日は朝まで騒ぐわよーっ!」

「ええっ!?」

「朝まで!?」


悲鳴を上げる2人をにらむ香澄。


「ん~? 何か文句あるのかな~?」

「はう……ないっす……」


おどけたように、玲司は答えた。


「よーし、それじゃ行こうか!」


香澄は満足げにうなずくと、駐車場に向かって歩き出す。







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