桜の花びら舞う頃に
「やっと着いた……」



新幹線からホームに降り立った悠希。


「すう……」


深く息を吸い込んでみる。

慣れ親しんだ街とは違う空気が、胸の中に入ってくる気がした。

その新鮮さに、長旅の疲れも一気に吹き飛んでいく。



「……よしっ!」



悠希は急ぎ足で改札口を抜けると、そのまま駅の外に出た。

その目に、広島の街並みが飛び込んでくる。



「ここか……」



足を止め、悠希はグルッと辺りをと見回した。



「ここが……さくらちゃんが生まれ育った街……」



目の前に広がる街並みに、感慨深いものが広がっていく。






「━━━って、こんな浸ってる場合じゃないって!」





悠希はあわてて、時計を見た。

針は、午後1時を指そうとしている。



「早く、さくらちゃんを探さなきゃ!」



悠希はうなずくと、街の中へと走り出すのだった。










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