桜の花びら舞う頃に
そのとき━━━






にじんだ視界に、人影が見えた。






悠希は、あわてて目をこする。




「あ……あれは……!!」




思わず、ベンチから立ち上がった。







そのとき、時計台が午後4時を告げる鐘を鳴り響かせる。






その鐘の音に驚いたかのように、噴水の周りにいた鳩たちは、一斉に飛び立った。






悠希の視界は、鳩たちの姿で遮られる。









そして、その視界が再び晴れたとき……










そこには、さくらの姿があった。











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