桜の花びら舞う頃に
「さくらちゃん!!」



悠希は叫ぶ。



「悠希くん!?」



さくらは、驚きの声を上げる。


悠希は、さくらの元に走り寄った。



「さくらちゃん……」


「ゆ、悠希くん……何でここに……?」


「うん……ちょっと……じゃない!」



そう答えかけて、悠希は勢いよく首を横に振る。



「さくらちゃんに逢いに来た!」



真っ正面から、さくらを見つめた。



「伝えたいことが……あるんだ……」


「伝えたい……こと……?」


「新しい道を歩み出したさくらちゃんには……迷惑かもしれないけど……」



悠希は苦しげにそう言い、思わず顔を背ける。


「でも……それでも俺は!」

「新しい道って……お見合いのこと?」


さくらは、悠希の言葉を遮った。

悠希は、真剣な表情でうなずく。


「あ~、あれね……」


さくらは、照れたような笑みを浮かべた。



「あれ……断っちゃった!」


「えっ!?」



微笑むさくらに、悠希は驚きを隠せない。


「な……何で?」

「ん~、何でだろ……? 凄くいい人だったんだけどなぁ……」


そう言いながら、さくらは後ろを向く。







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