桜の花びら舞う頃に
真っ暗な部屋の中。
さくらは1人立っていた。
目の前に、膝を抱え泣く少女の姿が見える。
……大丈夫?
さくらは、優しく話しかけた。
「胸が痛くて……苦しいの……」
少女は答える。
どうしたの?
「涼ちゃんに……振られちゃった……」
えっ?
「もぅ、イヤだよぅ……恋なんてしたくないよぅ……」
あ、あなた……
お名前は?
「綾瀬……さくら……」
あれは……
17歳のあたし……
17歳のさくらは泣き続ける。
涼ちゃんに……
振られたばかりの
あたし……
さくらは、そっと近付いた。
そして、その手を伸ばし、優しく抱きしめる。
「えっ……?」
大丈夫
心配しないで……
さくらは、そっと話しかけた。
つらいよね……
わかるよ……
でもね……
いつかまた
素敵な人に
巡り逢えるから
「あたし……また、恋できるの?」
大丈夫!
……ほらっ!
さくらは、すっと前を指差す。
そこには、扉があった。
さあ
開けてみて……
「えっ? でも……怖い……」
大丈夫!
あたしが
ついてるから!
「うん……」
17歳のさくらは、扉のノブに恐る恐る手を伸ばす。
扉は、静かな音を立てて開いていく。
扉の向こうから
眩い光が広がっていく━━━