桜の花びら舞う頃に
「そ、そんなことより!」



ごまかすように、少し大きな声を出す悠希。


「さくらちゃんとのこと……帰ったら、た~に話さなくちゃ」


その言葉に、さくらの顔は真剣になる。


「た~くん……受け入れてくれるかな……?」


さくらは、不安そうな瞳で悠希を見つめた。


「た~は、さくらちゃんのことが大好きだし……問題ないよ」


さくらの不安を吹き飛ばすかのように、悠希はひときわ明るい笑顔を見せる。



「それよりも……さ」



しかし、不意にその顔を険し、声をひそめた。

悠希のその表情の意味に、さくらも気付く。



「……教師と保護者の恋愛……ね?」



悠希は、無言でうなずく。


「うん……バレたらマズいもんね……」


さくらも険しい表情でうつむいた。


「俺は……さくらちゃんと離れたくない!」

「あ、あたしだってそう!」


2人は顔を上げ、お互いを見つめ合う。



「身内以外には……」


「うん……秘密にしないとね」



2人は合わせた手を、強く握りなおした。

そして、見つめ合い微笑み合う。




━━━秘密を共有できる。




そのことすら、今は嬉しく思える2人であった……










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