桜の花びら舞う頃に
そして、時は流れ……




暦は12月に突入した。




街は、にわかに活気づき、クリスマスの色に染まっていく。


その街の中にいるだけで、不思議と楽しい気分になってくる。


サンタクロースが待ち遠しかった、子供の頃のように。








そして、更に時は流れ……






3人で逢う日の前日の夜……






「いよいよ明日か……た~、びっくりするかな?」


悠希は、隣りで眠る拓海の頬を優しくなでた。


あれから香澄とは会社で顔を合わせてはいるが……

特に変わりなく接してくれている。

それは、悠希にとっても非常にありがたいことだった。


「さて……俺も寝るかな」


部屋の明かりを消すと、拓海の隣りで身体を横にする。

そのとき、枕元の携帯電話が振動し、光を放つ。


「ん? メールか?」


夜のメール受信は、いつもバイブレータの設定にしている。

拓海の睡眠を妨げたくないからだ。


幼い頃の拓海は音に敏感で、ちょっとした物音にも反応し夜泣きをはじめた。

そのため、電話はともかく、メールはバイブレータの設定にするようにしたのだ。


悠希は、手探りで枕元の携帯電話を拾い上げる。

そして、横になったまま受信メールを開いた。


「……ふふふっ」


思わず、微笑みが漏れる。

そして、携帯電話を元あった場所に置くと、静かに目を閉じた。


「明日が楽しみだな……」


そして、いつしか悠希も拓海の後を追うように、深い眠りの世界に落ちていった……










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