桜の花びら舞う頃に
寄せては返す波。


砂浜に向かう波は、どこまでも進もうと押し寄せて、そして力尽き再び海の中に戻っていく。


消波ブロックにぶつかる波は、そこで砕け、白いしぶきを立てている。




「海は夏のものだと思っていたけど……」


「冬の海も綺麗ね……」


「来て良かったねー!」




防波堤を歩く3人は、海の景色に酔いしれていた。



冬の海は厳しくて、壮大で、力強い。



その海を眺めていると、不思議と力がわいてくるような気がする。






『知らない人が見たら……あたしたち家族に見えるのかな?』






さくらの言葉が、悠希の胸に蘇る。



「さくらちゃん……」



悠希は、さくらを振り返った。

さくらは無言でうなずくと、2人から少し離れた場所に歩き出した。








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