桜の花びら舞う頃に
「あれ? さくら先生、どこ行くの?」



それに気付いた拓海が、不思議そうな声を上げる。



「た~……」



しかし悠希は、それには答えない。


拓海と向き合うと、その場にしゃがみ込んだ。


目線が、拓海と同じ高さになる。


「た~は……さくら先生のこと、どう思う?」

「大好きー!」


悠希の問いに、間髪入れず答える拓海。



「そっか……」



悠希は、視線を海へと移した。

少し風が強くなってきたようで、消波ブロックにぶつかる波の勢いは、先ほどよりも強くなっている。



「もし……もしも、だぞ」


「ん~?」


「さくら先生が……」


「うん」


「た~の新しいママになったら……どうだ?」


「えっ!?」



拓海は、驚きの声を上げた。



「た~……パパたち……お付き合いしてるんだ」


「それって……」


「ああ……結婚も……考えている」


「結婚……? 新しい……ママ?」


「た~は先生のこと大好きだし、いつも一緒にいられるようになったら嬉しいだろ?」



悠希は、そう言って笑顔を向けた。






「うん! 僕、スッゴく嬉しいよ!」






輝く太陽のような笑顔を返す拓海。











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