桜の花びら舞う頃に
海岸線にたどり着いた2人は、はるか沖、波の合間に浮き沈みする人影を見つけた。







その人影は━━━







「拓海━━━っっっ!!」


「いやあ━━━っっっ!!」







それは





紛れもなく





拓海、本人だった……









「た~君! た~君っっ!!」



さくらは、拓海の名前を叫びながら走り出す。

大小の岩が転がる砂浜を越え、




ジャバジャバジャバ!




激しく水しぶきを上げて、真冬の海に飛び込んでいくさくら。



夏の間でも遊泳禁止となるこの場所は、海の中も足場が悪く、進みづらい。

急に深くなる海底に足を取られ、転びそうにもなる。



そうこうしているうちにも、拓海の姿はどんどん遠ざかっていく。



「このままじゃ……このままじゃ━━━っ!!」



自分の非力さに、涙が溢れて止まらなかった。







そのとき!







水しぶきを上げて、さくらの横をすり抜ける影。



「悠希くん!!」


「さくらちゃんは待ってて! 俺が必ず連れ戻すから!」



そう叫び、悠希は頭から飛び込んでいく。



「悠希くん……お願い……」



拓海を目指して泳ぐ悠希の背中に、さくらはその想いを託すのだった。









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