桜の花びら舞う頃に
2人の姿が消え、岸辺は絶望と悲しみで静まり返っていた。






そのとき……






「お……おい、あれって……」

「あ……ああ!」




海を見つめていた人たちが、にわかに騒ぎ出す。

その声に、校長も目をこらした。



「……あっ! 綾瀬先生! ほらっ!」



校長に助け起こされるように、さくらは立ち上がる。

そして、校長が指差す先に視線を向けた。




「……あっ!」




波間に浮かぶ2つの影。

影は、こちらに向かって泳いでくる。




「悠希くん! た~君!」




さくらは、海に向かって走り出した。










< 516 / 550 >

この作品をシェア

pagetop