桜の花びら舞う頃に
拓海を抱いて浮かぶ悠希。


しかし、すでに体力は限界を越えている。

身体を沈めないようにするのが精一杯だ。



「くそっ……もう少しなのに」



つぶやく悠希の耳に、愛しい声が聞こえてきた。



「悠希く━━━ん!」


「さくら……ちゃん……」



もう動かないと思っていた手足に、不思議と力がみなぎってくる。



「行こう、た~。みんな……待っているよ」



悠希は、再び泳ぎだした。

愛しい人が待つ、あの岸辺に。











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