桜の花びら舞う頃に
「あはははは、2人とも面白い方ですね!」
少しオーバーなリアクションで笑う麻紀。
となりでは、さくらもクスッと笑っている。
悠希は、顔が熱くなるのを実感していた。
「あはははは……いいですよ」
麻紀はひとしきり笑った後、2人に答えた。
「ホント!?」
玲司が歓喜の声を上げる。
「ええ、お2人とも面白いし、いい人そうだから」
麻紀はニコッと微笑むと、さくらにも同意を求めた。
「ね、さくらもいいよね」
「あたしはいいけど……麻紀ちゃん、相談があったんじゃないの?」
「あ~、いいのいいの、気にしないで!」
たずねるさくらに、軽く笑い飛ばす麻紀。
「麻紀ちゃんが、それでいいならいいけど……」
「よしっ、じゃあ決まりっ!」
玲司がパンと手を鳴らす。
「今夜は楽しくなりそう~!」
嬉しそうな麻紀。
玲司は悠希にそっとささやく。
「俺は……このチャンスを無駄にはしない」
「ああ」
「悠希……お前も、そろそろ前に進んでもいい頃だと思うぞ」
そう言う玲司の顔は、いつになく真剣だった。
その言葉を受け、思わずさくらを見る悠希。
悠希の胸は高鳴りだす。
初めてさくらを見た、入学式のあの日の様に……