桜の花びら舞う頃に
「う……」



悠希は、薄目を開く。

光の向こう側には、愛しい人がいた。





「悠希くん……」



「ただいま……さくらちゃん」



「おかえり……悠希くん」





泣きながら、笑顔を浮かべるさくら。





その顔は、涙でぐちゃぐちゃだったけれど……








それは━━━








間違いなく、世界で一番美しい笑顔だった……










そして、悠希は再び闇の中に落ちていった。






しかしそれは、海の底のような深い闇ではなく━━━






輝く星空のような、透き通った闇だった。











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