桜の花びら舞う頃に
「……あれ?」



ふと、キッチンが静かなことに、悠希は気が付いた。


「もう終わったのかな?」


そう思い、キッチンをのぞこうとした




━━━そのとき。




「悠希くん!」



さくらと拓海が、部屋に姿を現した。


「どうしたの? もう終わった?」

「ううん……これ」


さくらは、戸棚の奥で見つけたものを差し出す。


「あ……これ……」




それは、高校のときの卒業アルバムだった。




「それが戸棚の奥にあって……」

「そっか……そんなところにあったんだ……コレ」


悠希は苦笑する。


「さくらちゃん、見てみる?」

「え?」





高校の卒業アルバムということは━━━





「悠希くん……いいの?」

「……うん、もう大丈夫! ……なっ? た~」

「うん!」


微笑む悠希に、拓海は笑顔で答えた。




さくらは、卒業アルバムを床に置く。

3人は、顔を寄せ合いアルバムをのぞき込んだ。





━━━めくられていくページ。





その手は、3年2組の顔写真のところで止まった。


「あ、パパ、見っけー!」


拓海は、嬉しそうに指差す。


「あ~、面影ある~」

「そっかな?」


悠希は、照れたように頬をかいた。


「……あっ、これ、玲司くんね!」


さくらは、玲司を指差す。


「あははっ、全然変わらなーい!」


3人は、顔を見合わせて笑い合った。








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