桜の花びら舞う頃に
辞職







その2文字が頭をよぎる。



「あ、あのっ、あたしコレを……!」



そう言って、辞表を提出しようとしたさくらを遮って、校長は話し出した。



「あなたには、転任してもらいます」

「……えっ!?」



予想外のその言葉に、さくらは戸惑いを隠せない。



「そ……それだけ……ですか?」


「何か、不満でもあるのかしら?」


「い……いえ!」



そして、校長は初めてその表情を緩めた。



「あなたの気持ちは、わかりますから……」


「えっ? それって……」


「ただし!」



再び、厳しい表情になる校長。



「あなたが転任する、来年の4月までは、彼と会わないことを約束してもらいます……いいですね?」


「は……はい!」


「では……話は終わりです。もう、行っていいですよ」


「あ……ありがとうございます!」



さくらは、深々と頭を下げた。







あたし……

まだ、教師を続けられる!







その喜びに、目頭に熱いものが込み上げてくるのだった。










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