桜の花びら舞う頃に
玲司は、話題も豊富でルックスもいい。

そのため、今まで女性に困ったことがない。

しかし、これといった彼女がいたわけでもない。

いわゆる、特定の彼女はいないというやつだ。


しかし、今回はいつもと違っていた。

緊張し、サポートを求める玲司の姿は、悠希の記憶にはなかった。

それだけ、麻紀に本気だということだろう。

以前、玲司がこう言っていた。


「運命の人を探しているのさ」


玲司は麻紀に運命を感じたのかもしれない。


「OK! 可愛いから許す!」


しかし、場慣れし、アルコールも入った玲司を見ていると、果たしてサポートは必要なのだろうか?

悠希はふと疑問に思えてきた。


「何ボケッとしてるんだよ!」


玲司の言葉で我に返った悠希。

気が付けば、3人が悠希の顔を覗き込んでいる。


「うわっ!」

「うわっじゃないよ」

「どうかしたんですか?」

「私の話、聞いてました?」


3人から責められ、たじたじになる悠希。


「だ、大丈夫! ちゃんと聞いてたって! え~と……織田麻紀ちゃん! 歳は25歳でーーー」


しかし、ここは持ち前の営業力で、なんとか切り抜けた悠希であった。



4人の夜は、まだまだ始まったばかりだった……




< 54 / 550 >

この作品をシェア

pagetop