桜の花びら舞う頃に

「あのね、麻紀ちゃんの実家は、お米屋さんなんだよ~。4人兄弟の3番目で……」


マシンガンのように話すさくら。


「━━━そうそう、麻紀ちゃんの好みのタイプってね~」

「ちょっと、さくら!」


話がかなり飛躍したさくらを、グイッと引っ張り席を立つ麻紀。

麻紀に引っ張られてさくらも席を立つ。

そのまま、麻紀は悠希たちから少し離れたところに移動した。


「……痛いなぁ~、何? 麻紀ちゃん」

「何じゃない! アンタ、ちょっと喋りすぎだよ!」


悠希たちに聞こえないよう、少し小声で言う麻紀。


「え~、そぉ?」

「そうだよ! 女は秘密を着飾って美しくなるって言葉だってあるんだから!」


麻紀は腰に手を当てる。


「……それに、少し謎があった方が、ミステリアスな感じでいいでしょ?」

「……うん……ごめん。ちょっと喋りすぎたかも」


麻紀の言葉に素直に謝るさくら。


「これから気を付けまーす!」


笑顔で麻紀に敬礼する。

そして、また麻紀の腕を取り、悠希たちの待つ席へと歩き出した。



(この子……ホントに分かってくれたのかしら……?)



麻紀の不安をよそに、さくらは席に戻った。

さくらに引っ張られ、麻紀も席に座る。


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