桜の花びら舞う頃に
「なんなの、あの子!」
麻紀が怒りの表情をあらわにする。
「うん、あたしも、あまり好きにはなれないかも……」
さくらも、エリカにいい印象を持っていなかった。
「礼儀がなってないのよ!」
そう言いながら、トイレの鏡をキッと睨む。
そこには、眉間にしわを寄せた険しい表情の麻紀がいた。
2人は今、フレアのトイレにいる。
あまりのエリカの態度に熱くなった2人……特に麻紀は、少し熱を冷ましてこようと、2人でトイレにやってきたのだ。
「だいたい、玲司も玲司よ!」
しかし、冷ますどころか、逆に燃え上がっている気もしないでもない。
「玲司くんも、はっきり言えばいいのにねぇ」
「……まぁ、言っても聞くタイプじゃなさそうだけど」
ふうっとため息をつく麻紀。
そして、鏡に映ったその表情に、慌てて顔を整える。
「……戻ろうか」
「うん、悠希くん1人じゃ大変だろうし」
2人は鏡に向かい、一度だけニコッと笑いかける。
「うんっ!」
そして、2人はその場を後にするのだった。