桜の花びら舞う頃に

「エリカ……!」


玲司は、エリカを止めようと声をかける。

しかし、エリカは止まらない。


「昔の女を、いつまでも引きずってんじゃねーっての!」


そう言い、大きな声で笑うエリカ。


「……よっぽど素敵な人だったんじゃないの?」


さくらがたまらず反論する。


「いくら素敵でもねぇ……いなけりゃ意味ないじゃん! もっと現実を見なって感じ」


しかし、エリカは鼻で笑う。


「エリカ……もう、それくらいで……」


しかし、玲司の止める声は聞こえていない。


「それに、子供までいるんだよ? アタシ、子供って嫌いなんだよね~」

「な……何でそんなこと言うの!?」


エリカの言葉に、立ち上がるさくら。


「ちょ……ちょっと、さくら?」


その態度に驚きを隠せない麻紀。


「何でって……そりゃあ、うるさいし、ワガママだし、面倒くさいし~」

「だって……だって、あなたにだって、子供時代はあったでしょ!」

「あ~、アタシはいいの、可愛かったから」


そう言って笑うエリカ。


もはや、あきれて何も言い返せない。


ただただ、テーブルには険悪な雰囲気が漂っていた。



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