桜の花びら舞う頃に
~~~♪
その雰囲気を突き破って、悠希の携帯電話が鳴る。
「この着うた、アニメの……」
「うん、た~が好きなんだ……」
席を立ちながら、さくらにそう答える。
「もしもし……あ、お義母さん」
電話は由梨の母からだった。
拓海が寝る前に悠希と話がしたいらしい。
「もしもし、た~? うん、パパだよ」
電話を変わった拓海と話す悠希。
テーブルにいる者に目配せすると、店の外に向かって歩き出した。
「げっ! 何、あの人も子供いるの? マジ最悪じゃん! 有り得ないよ!」
去っていく悠希の背中でエリカが騒ぐ。
「ちょっと、アンタいい加減にしなよ!」
麻紀がにらむ。
「何よ? アタシは自分の気持ちを素直に言っただけじゃない!」
「人には言っていいことと、悪いことがるでしょ!」
悠希のいなくなったテーブルで、女3人の戦いが始まった。
「もっと、人の気持ち考えなさいよ!」
「アタシが何を感じて何を言おうと勝手でしょ! 言論の自由ってやつ?」
「人を嫌な気持ちにさせといて、何が言論の自由よ!」