桜の花びら舞う頃に
「悠希くーん!」




店の外に出たさくらは、悠希の姿を探した。


しかし、名前を呼んでも返事は返ってこない。


さくらの胸に不安がよぎる。



「悠希く━━━ん!」



もう一度、名前を呼びながら、急ぎ足で店の外周を進む。



「あっ!」



そして、角を曲がったところで、さくらは悠希を発見した。



「悠希……くん?」



しかし、片足を伸ばし、壁にもたれかかった悠希からは返事はない。




(寝てるみたいね……)




さくらは少し安心しながら悠希に近づいた。


「悠希くん、こんなところで寝てると風邪引いちゃうよ」


そう言って、悠希を起こそうとする。





その時、悠希の頬を、一筋の涙がつたい流れるのだった。







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