桜の花びら舞う頃に
第15話『慟哭』
「由梨は……その後すぐに息を引き取ったんだ……」




壁にもたれ、悠希は夜空を見上げる。

涙は流れてはいないが、その表情は悲しみに深く染まっていた。


「悠希くん……」


さくらは涙を浮かべ、悠希の横顔を見つめた。

手を胸の前でキュッと握る。




「俺が……」




うめくような声を出す悠希。

顔を下げ、一点を見つめた。




「俺が……もっと早く走れたら……」




悠希は、手のひらで顔を覆う。




「俺が……もっと早く気付いていたら……!」


「悠希くん……」




さくらの頬を、涙が伝って流れる。




「この手が……由梨をつかんでさえいれば!!」




悠希は、わなわなと自分の手を見つめた。



「悠希くん……もうやめて……」


「由梨は……」



悠希は、爪が食い込むくらい強く拳を握にしめた。




「由梨は……俺と出会ってさえいなければ……」


「悠希くん!!」










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