この手が届く距離
母との生活
元々は関西で産まれたけど、あの男から逃げるために、母は私の手を引いて、新幹線に乗った。

行く当てもなかった。
と思う。

不安そうに曇った、母の顔が忘れられない。

それでも、私は安堵した。
暴力から逃れられる。

もう、身体も心も痛くない、って。
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