−*初カレ*−
私は名残惜しくも幸江から離れ、自分の席に座った。




「俺はこのクラスの担任の笠原宏介だ。好きに呼ぶといい。」


「「「「キャーーーーーーーッ」」」」


笠原先生は見るからに若く、女子がキャーキャー言うほどカッコイイ容姿をしている。


宏ちゃんって呼ぼうかな。




「じゃあ出欠とるぞ〜」


先生が出欠をとり始めた時、私は窓の外を眺めていた。




校庭には満開の桜。
窓からは温かな風。
綺麗に咲き誇る花びら。
空を舞い、風と踊り、散り際は儚く美しい。




桜の香を感じながら、春風が姫華の漆黒の髪を優しく撫でる。




その姿に何人もの人が見惚れていた事には姫華は気付かなかった。




それは担任の笠原も例外ではなかった。


「藤咲姫華か…。」


笠原の呟きは生徒達の話し声に紛れていった。


出欠が終わった後、始業式の為、皆体育館に向かった。




「え〜皆さん、本日は新たな学年のスタートの日です。」


始業式が始まった。


姫華はぼぉっとしながら暢気に欠伸をしていた。
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