−*初カレ*−
口の中に苦味と辛味が両方きて、独特な香りが広がる。


『ケホッ…ケホケホッ…』


私にはキツイのか噎せてしまった。


「クスクス…餓鬼。」


宏介はタバコを人差し指と中指で挟み、クツクツと喉を鳴らしながら笑った。




『むぅー…なんでキスすんのよ。』


姫華はむっすーと頬を膨らましながら宏介を睨んだ。


でも宏介には効かないようで…。


「んぁ?吸いたかったんだろ?」


『……。』


だからってキスすることないじゃん……。




『私、彼氏いるんだけどッ』


姫華はさらに睨みを効かせて言った。




「じゃあー…」




宏介は姫華の顎を手で掴み上げ、唇が触れるか触れないかギリギリのところまで近付けた。




「俺達だけの秘密な…?」


宏介はニヤッと妖しく笑うと私の顎を離した。




『宏ちゃんのバカ…。』




姫華は顔を赤くしながらベーッと舌を出し、教室を出ていってしまった。




教室では宏介のクスクスと笑う声が響いていた。
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