−*初カレ*−
もう信じらんないッ


宏ちゃんのバカッ


バカバカバカッ




暴言を吐いているのに
心臓はドキドキしている。




矛盾している自分を振り払い、私は袖で口を拭きながら3組に戻った。








私は教室に戻ると、帰り支度をして教室を出ようとした。




フと優哉の席を見ると、机の上に適当に置かれたブレザーがあった。




『優哉くん意外だなー…。』




優哉は貴重面に見えるから、ちゃんと畳んで置いとく性格だと思ったからだ。




姫華は優哉のブレザーを取ると背中に被せるように着た。




『へへっ…大きいな…。』




優哉くんの匂いがする…。




なんだか優哉くんに抱きしめられているみたい…。




温かい…。




まるで宏介のキスを消すかのように、優哉の温もりを感じていた。




私は優哉のブレザーを脱ぐと、綺麗に畳んで机の上に置いた。




鞄を肩にかけ、後ろを振り向き優哉の席を愛おしむように見てから教室を出た。






教室の外から咲人が悲しげに瞳を滲ませて、姫華を見つめていた…。
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