−*初カレ*−
「てめぇ…それ以上姫の悪口雑言してみろ…この学校にいれなくしてやる。」


俺は殺気を放ち、女を刺すように睨みつけた。


「ーッ…。」


女は歯を食いしばって俺の殺気に耐えていた。


「姫はな…てめぇみたいに奸悪じゃねーんだよ。」


「……。」


「明るくて、素直で、何より人に優しい。みんなに平等に優しいんだよ。


なんでだか分かるか?」


「……。」


「一度大切なものを失うと分かるよ…。」


「……。」




咲人はそう言い残すと中庭を去り校舎の中に入った。




大切なものを失う…。




それは姫にとって両親のこと。




あとから気付く。




人の大切さ…。




儚く脆い命…。




もっと自分が良い行いをしていれば、良い子でいれば、神様は自分から両親を奪わなかったんじゃないかって。




だから姫はみんなに対して優しく、親切に接する事を心掛けた。
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