−*初カレ*−
「喧嘩でもしたのか?」


『…ううん。』


私は首を横に振った。




「浮気か?」


『優哉くんがそんなことするわけないじゃんッ』


姫華はダンと音を立てながら立ち上がり、眉間に皺を寄せた。




「ったく、もしもの場合だろ?何キレてんだよ。」


宏介は姫華を宥めながら椅子に座らせた。




『……なんか避けられてる気がするんだよね…。』


「姫華の思い違いじゃねーのか?」


『うー…ん…どうなんだろ…。』


「思い当たる節があんのか?」


『うーん…。』




姫華は今日あったことを話した。




「なるほどな。」


『宏ちゃん、なんか分かったの!?』


「あぁ。」


『どういうことか説明して!!』


「ダメだ。」


宏介はこめかみを親指でグリグリと回しながら答えた。




『なんで!?』


「姫華が自分で考えないと岡野の為にも、姫華の為にもならないだろ?」


『……。』

「ゆっくり考えるんだな。」


宏介は最後にそう答えると、タバコを灰皿に押し付け、また作業しだした。
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