−*初カレ*−
『先週転校してきた南沢陽奈ちゃんだよ?』




「「「「「え゙ッ!?」」」」」




聞き耳を立てていたクラスの皆が一斉に振り向き、声を重ねた。




「男!?」

「え!?女の子じゃないの!?」

「嘘だろ!?狙ってたのに!!」

「マジかよ…。」


クラスの皆は口々に驚愕の言葉を漏らした。




その中にはこんな声も……。




「騙されたし。」

「っていうか女装してたくせに男に色目使ってたなんて。」

「マジ引くわー。」




陽奈都に対しての風当たりは厳しいものだった。




陽奈都は皆の声が聞こえたのか、肩身を狭くし眉をすぼめて、姫華の後ろに隠れた。




姫華の服の裾をキュッと握り、その手は僅かに震えている。




『みんな!!聞いて!!』


私はクラス中に聞こえるように声を張り上げた。




『陽奈都くんはお家の事情で女の子の格好をしてたの。陽奈都くんなりに今まで一生懸命に生きてきたんだよ。だから騙してたわけじゃない。女装しながらも友達を作るのに必死だったの。そういうところを分かってほしい。』


私はクラスのみんなの目一人一人をちゃんと見て、陽奈都くんの事を理解してもらうように、言葉で伝えた。




「そうよ。陽奈都なりに苦労してきたんだから。」


私の肩に手を乗せて言う幸江。




私は幸江の方を振り向き、頷いた。




「みんな…南沢の話を聞いてくれないか?」


優哉は幸江の反対側から姫華の肩に手を置いた。
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