−*初カレ*−
優哉は姫華に焦点を合わせると、最後の力を振り絞り、速度を上げた。




パンパンパンッ




《一位……黄組!!》




『優哉くんッ』


私は優哉くんの元に走った。




「ハァ…ハァ…ハァ…姫…華…?」


優哉は荒い呼吸のまま姫華の方に顔を向けた。




『一位だよッ優哉くんッ!!』


「よか……った……。」


優哉は芝生の上に、大の字になるように倒れた。




『優哉くんッ』


「ハァ…ハァ…俺…頑張ったよ?」


『うんッ優哉くんのお陰で一位になれたよ!!』


私は優哉くんの手をギュッと握った。




カサッ…




芝生を踏む音が聞こえ、振り返った。




そこには咲人の姿が。




「お疲れさん。」


ドシッとその場に座り込み、胡座をかく。




「はぁ…あとちょっとだったんだけどな〜」


咲人は苦笑しながらも悔しそうだ。




「今回は負けたけど……ライバルなのは変わらないから。




バスケも……恋も。」


「もちろん。」


咲人と優哉は拳を作り、コツンと合わせた。




「じゃーな。」


咲人は姫華の頭をくしゃっと撫でると、自分のクラスの所に戻っていった。
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