−*初カレ*−
私は硬直してその場から離れられなかった。




見てはいけないものを見たような……そんな感覚に陥る。




視線の先にいる優哉と目があった。




「姫華…?」




私はビクッと身体が震えた。




「だぁ〜れぇ〜?」




女の子は私に気付くと首を傾げながら優哉に問い掛けた。




頭の中で警鐘が鳴っている。




私はなんだか怖くなって、その場から走り去った。




「姫華ッ!!」




優哉の声を振り払って。




私は階段を急いで降り、咲人のいる部屋に戻った。




―バタン




ドアを閉めるとストンと身体から力が抜けるように椅子に座った。




「姫?」


『……。』


「?」


『……』


姫華は虚ろな目を咲人に向けた。




『咲ちゃん……。』


私は咲人に抱き着いた。




強く。強く。




「姫?///」




咲人はいつもと違う姫華に赤面し、アワアワと慌てた。




なんで優哉くんがココにいるの?




今日は用事あるって言ったじゃん。




隣の女の子は誰?




私とは違って大人っぽい子




なんで腕組んでるの?




なんでキスされてんの?




浮気……?




違うよね?




でも…さっきの光景が目に焼き付いて離れない……。




裏切られた……?




頭の中は疑問だらけになって、気付いたら頬に冷たい雫が伝っていた。
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