−*初カレ*−
「聞いて〜、聞いてくれる?そんなに聞きたいんだね〜♪」




聞いてほしいんだね。




私は溜め息をつき幸江の方に向き直った。




「昨日のデート大成功!!
秀樹ったらね〜『幸江のこともっと好きになった。』だって!!キャーーッ!!」




幸江は思い出したのかクルクル回って悶えている。




『よ、良かったね……。』


私は口元が引き攣りながら幸江から一歩後ずさった。




―ガラッ




「……はよ。」


『……。』




優哉くん……。




「それでねー」


『さっちゃん、私ちょっと体調悪いから早退する。』


「え?大丈夫?」


『うん。じゃあね。』


私は鞄を持って教室を出ようとした。




「待って!!」


『……。』


「話がしたい。」


『……私はしたくない。』


私は優哉に背を向けたまま、涙が零れ落ちるのをぐっと堪えた。




「お願いだ…。聞いてくれ…。」




私は下唇を噛み、手をギュッと握った。




『聞きたくない。……話したくもない……。』


そう言い放ち、私は教室から走って出た。
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