−*初カレ*−
“人がひかれたみたいよ。”


“怖いわね……。”




これは……。




“ママ……パパ……?”


“あの子供の両親かしら?”


“可哀相にねぇ……。”




いや……


ママとパパは死んでないッ


私を追いていったりしないッ


いやッ


いやッ


“いやぁぁぁぁぁぁぁッ”




――――…



「…―…かッ」


「姫華ッ」


ガバッ


『ハァ…ハァ…ハァ……。』


「大丈夫か…?」


私は虚ろな目で、声が聞こえる方向へ顔を向けた。




『宏ちゃん……?』


さっきの映像が頭を過ぎって心臓がバクバクし始めた。




『イヤッ…イヤッ…ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ…』


「おいッしっかりしろ!!」


『ッ……っぁ……』


宏介は急に苦しみだした姫華に危険を察知した。




「眞辺先生ッ紙袋ッ!!

過呼吸だッ!!」


「えッ!?はッはいッ」


眞辺先生は急いで紙袋を用意し、宏介に渡した。




「姫華ッ」


宏介は姫華の口に急いで紙袋の口を合わせると、背中をさすった。




「吸ってー…吐いてー…


大丈夫だ大丈夫だ…。」


姫華は宏介の言う通りにした。




しばらくして、バクバクしていた心臓がだんだんと落ち着き、呼吸も安定してきた。


『……ありがとう……。』


「もう大丈夫か?」


『……うん。』


私は布団をキュッと握りしめ、俯いた。





















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