−*初カレ*−
「乗れ。」


私は素直に車に乗り、ドアを閉めた。




「シートベルトしろよ。」


『はーい。』


シートベルトをしめたと同時に車が発車した。




いつもは歩道を歩いているのに、今は道路を走っている。




車から見える景色は歩く時とちょっと違う。




ネオン街が広がり、いろんな色のライトが宏介の顔をぼんやりと照らしている。




ウ゛-ウ゛-…ウ゛ーウ゛ー…




携帯のバイブらしき振動がどこからか鳴っている。




「お前の鳴ってんぞ。」


『私?』


鞄から携帯を取り出して確認してみると、着信があった。




着信:咲人




「誰から?」


『咲ちゃん。』


「咲ちゃん?」


あ、宏ちゃんは咲ちゃんの事知らないのか。




『2組の相馬咲人。幼なじみなの。』


「ふーん。」




ウ゛ーウ゛ー…


『あ、また咲ちゃんから。』


―ピ


『もしもし?』


《お前どこほっつき歩いてんだよ!!!!》


キーーーン……




携帯から大音声が聞こえ、隣にいた宏介も吃驚していた。




『咲ちゃん耳痛いよ…。』


《お前今どこにいるんだよ!!》




聞いてないのね(泣




『今お家に向かってるよ。』


《本当だな!?あとどのくらいで着く!?》




咲人に聞かれて、隣にいた宏介の方を向いた。


宏介は携帯からの声が聞こえていたのか、運転しながら片手を三本立てた。
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