−*初カレ*−
力強く抱きしめられているのに、その腕は震えている。




「心配したんだぞ……。」




泣いているような声……。




本当に心配かけてしまったんだなと反省した。




『ごめんね……。』







「おい。」


『あ。』


私は抱きしめられたまま、宏介の方を振り向いた。




なんか怒ってる…?




眉間に皺が寄り、ハンドルに力を入れている。




『えと…送ってくれてありがとう……。』


「ハァ……まぁいい。」




宏介はこめかみを親指でグリグリとさせながら、溜め息をついた。




「今日はゆっくり休め。


相馬、あとは頼んだぞ。」


「言われなくても。」




宏介はフッと微笑すると、アクセルを緩やかに踏んだ。




「また明日な。」


『バイバイ。』




発車すると、宏介は窓からヒラヒラと手を振った。







2人で自宅に入ると、お義母さんが普通にニコニコして迎えてくれた。




多分宏ちゃんから連絡がいっていたのだろう。




お義母さんとお義父さんに、遅くなったことを謝り、咲ちゃんと私の部屋へ行った。




「お前、早退したって聞いたのに、今まで何してたんだよ。」




咲人が眉間に皺を寄せ、ドスッとベッドに座った。




まだ怒ってるの?
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