−*初カレ*−
俺はすぐに前へ向き直した。




「今姫華ちゃんと岡野くんが別れたって噂が回ってるみたいだよ。」


「えッ!?」




俺達は別れない!!




絶対……。




言いきれるか?
今の現状で。




「姫華ちゃんを狙ってる男は沢山いる。いいの?このままで。」


「……いいわけない。」




いいわけないじゃないか。




姫華は…




姫華は……




俺の……




「誰かにとられていいの?」




俺は唇を噛み締め、手を握りしめた。




ギリギリと拳が奮える。




どうすれば…




どうすれば分かってもらえる?




どうすれば話しを聞いてもらえる?




「岡野」




俺は後ろを振り向いた。




「笠原……。」




後ろには腕を組んで、壁に寄り掛かる担任の笠原がいた。




笠原は親指で“来い”と合図してきた。




「行ってらっしゃい。」




西山は立ち上がった俺の背中を押した。




「おう……。」




椅子を元に戻し、笠原について行った。
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