天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜
「翔平さん、お疲れさま」


「ああ、待たせてごめん」


「ううん、そんなこと気にしないで?」


麻衣ちゃんと並んで歩きだし、玄関を出ると、たちまち熱風が襲って来て、俺はクラッと目眩を覚えた。


「今日も暑いですね?」


「そうだね」


「翔平さん、元気ないですね? お疲れなんですか? あ、もしかして熱中症!?」


俯き気味の俺の顔を、麻衣ちゃんは下から覗き込んで来た。

パッチリした目を見開き、愛らしい顔で、心配そうに。


俺は「大丈夫だよ」と言って、麻衣ちゃんから顔を背けてしまった。

情けない顔を、麻衣ちゃんに見られたくなくて……


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