天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜
柚子ちゃんは本当に急いでくれたらしく、アイスコーヒーをすぐに持って来てくれた。


俺はそれに何も入れず、ストローを抜いてグラスを持つと、一口だけ口に含み、喉に流し込んだ。


濃厚なコーヒーの苦味が、喉を通って腹に達するのを俺は感じた。


そんな俺を見て麻衣ちゃんは首を傾げたが、気を取り直すかのように笑顔になると、「翔平さん」と俺の名を呼び、俺は目だけで返事をした。


「あのね、翔平さんの事、家族に話しちゃったんです」


麻衣ちゃんが俺の反応を伺っているのが分かったが、俺は何と言っていいか分からず、黙って麻衣ちゃんを見つめていた。


< 306 / 388 >

この作品をシェア

pagetop