天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜
“きゃー”という悲鳴が店内のあちこちから上がったが、麻衣ちゃんも、俺も、微動だにしなかった。


青白い閃光に照らされた麻衣ちゃんの顔には生気がなく、まるで蝋人形のようだなと思った。


「どうして……?」


しばらく唖然としていた麻衣ちゃんだが、そう言うと目に涙が潤みだした。


「私が一人ではしゃいでるから、怒ったの?」


「いや……」


「私が子供っぽくて、嫌になったの?」


とうとう麻衣ちゃんの目から涙が溢れ、透き通るように白い頬を、一筋流れて落ちた。


俺はそれを、綺麗だなと思って見ていた。


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