天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜
しかし俺は、神様に逆らってしまった。


「俺は麻衣ちゃんの事、そんなには、好きじゃないんだ」


言ってしまった……

もう取り返しがつかない、偽りの、酷い言葉を。


麻衣ちゃんの表情に、絶望感が現れ、俺は、終わったなと思った。


楽しかった麻衣ちゃんとの日々と共に、俺の人生そのものが、その時終わりを告げられた気がした。


外では、激しい雨が降り始めていた。


「片桐さんですか?」


「え?」


「あなたが本当に好きな人。片桐さんなんでしょ?」


俺はもはや麻衣ちゃんを正視出来ず、下を向いて「そうだよ」と答えた。


「嘘つき!」


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