天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜
「分かったって言っただろ? そういうのは止めろよ、話しずらい」


俺は顔を上げると、また「すまん」と言っていた。


「で、なぜ隠してたんだ?」


「トーコさんから口止めされてたんだ」


「ふーん、俺はその瞳子さんから聞いたんだぞ?」


「え?」


何なんだよ、あの人は……


「いつ聞いた?」


「つい、さっきだ。何も知らない間抜けな俺は、お前の婚約者を飲みに誘ったわけよ。そしてあっさり言われたんだ。“私は翔ちゃんと結婚するから”って、嬉しそうにな。周りに聞こえやしないかと、俺はヒヤヒヤしたよ」


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