天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜

テーブルを挟んで向かい合わせに座り、俺は須藤京子の話を待った。


ところが、彼女は無表情で俺を見るばかりで、話し出す気配がない。


そこで俺は、聞きたくてうずうずしている事を聞く事にした。


「あの、まい、いや市川さんは元気ですか？」


須藤京子は一瞬の間を開け、俺を見たまま口を開いた。


「元気なわけないでしょ？」


「そ、そうですか……」


「痩せちゃったし、会社を辞めるんじゃないかと私は思ってます」


「痩せたんですか……」


ややぽちゃっとして、みずみずしく健康的だった麻衣ちゃんが、やつれた姿を思い浮かべたら、不覚にも涙が込み上げてしまい、思わず俺は下を向いていた。