天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜

「え、もう社内の噂になってるの？ 困ったなあ」


「ニヤケないでください！ 違うし……」


俺は無意識の内にニヤついていたらしい。


須藤京子は、「笑えば何でも許されると思って……。だから顔のいい男は嫌いなのよ。私は麻衣みたいに騙されないんだから」


とか、訳の分からない事をブツブツ言っていた。


「あの、“違う”って……？」


須藤京子はその前に“違うし……”と確かに言ったはずだ。何が違うというのだろう。


「噂話というのは、あなたと麻衣の事じゃなくて、あなたと……」


俺と？


そこで須藤京子が言葉を切るものだから、俺は緊張して唾をゴクッと飲み込んだ。


「片桐瞳子さんの事です」