2m彼氏。
「…よぉーし、オッケィ!
緩くないな?」
「ハイ…すんません」
お店のカウンターで、お兄ちゃんが
怪我をした手首に包帯を巻いてくれた。
男の人の名前は、樋口というらしい。
「ね、あそこで何してたの?」
「…飛んでた」
「飛ぶ?ほほぉ、面白い男拾ったなぁ」
お兄ちゃんはケラケラ笑いながら、
お店の奥に救急箱を持って行った。
「ぁー…パルクールっつって…
……建物の上とか、走る…」
まつ毛の長い切れ目が、あたしを見た。
ちょっとドキッとしちゃう…
「へえぇ、すっごぉい」
樋口さんは色白だけど
意外とがっしりした体で、
いかにも「スポーツやってます」って感じがする。
ただちょっと口数が少ないっていうか…
…無表情?
あんまり感情をおもてに出さない人なんだろうなぁ、きっと。
そんなことをひとりで思っていると、
お兄ちゃんが麦茶を持って来た。
「樋口さんは、学生なのかい?」
「ぁ…大学生ッス」