一番近くの君へ。



…もう完全に遅刻だ。



まさかバッグを忘れてるなんて思わなかったよ…



孝ちゃんにはバカにされるし、お母さんには笑われるし…



今日はなんだかついてない。



諦めながらエレベーターを降りると、あたしはビックリした。



「…孝ちゃん?」



そこには壁に背中を預けてる孝ちゃんの姿があって…



あたしが驚いていると孝ちゃんはクスッと笑って歩き出した。



…待っててくれたの?



でも、さっき"嫌だね"って…



「孝ちゃん、一緒に遅刻してくれるの?」



「ハナが待っててって言ったんだろ?」



「でも、さきに行っちゃったかと…」



「どのみち、間にあわねーからな。」



孝ちゃんは制服のネクタイをダルそうに緩めた。



…ネクタイ、ちゃんとしめてなきゃ生徒指導の先生が怖いのに…






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